乳がんの特性~なぜ抗がん剤を使うのか

乳がんは、目に見えるがん細胞を手術で完全に取り除いたとしても、目に見えない微小ながん細胞が全身に広がっている可能性があり、「全身の病気」と言われています。手術前後の検査で、転移の可能性があり、再発のリスクが高いと診断された場合には、手術に抗がん剤治療を組み合わせた治療を行うのが、標準治療だとされています。
抗がん剤治療を行うかどうかを判断するためのガイドラインが2つ存在します。医師はこれらのガイドラインのどちらかを使用して、抗がん剤治療を行うかどうかを決めます。
ひとつが「St. Gallenコンセンサス」。これによると、下記の要件を全て満たしている場合は、抗がん剤治療は不要となります。腋窩リンパ節転移が陰性、組織学的な浸潤径が2cm以下、病理学的な悪性度がグレード1、ホルモン受容体(ER、PgR)が陽性、HER2が陰性、年齢が35歳以上。
もうひとつが「NCCN(米国国立包括的がんネットワーク)」。こちらのガイドラインでは、腫瘍の大きさが0.5cm以下、あるいは、微小浸潤がんでリンパ節転移が陰性であれば、術後の抗がん剤治療は不要としています。
ガイドラインによって治療指針が異なることにも注意が必要です。
「医師から抗がん剤治療を勧められたが、やりたくない…」そのような場合は、治療のガイドラインが2通りあることを十分把握して、自分の病状についてもきちんと説明を受ける。その上で、他の医師にセカンドオピニオンを求めるのが有効なやり方でしょう。

抗がん剤治療を行うか判断するガイドラインは2種類に+1 !


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